スクーパー取材記事

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特定非営利活動法人 SOS子どもの村JAPAN

NPO・NGO医療・福祉 スクーパー取材記事あり
福岡県福岡市中央区今川2-14-3 サンビル3F

2018年度

家族と一緒に暮らせない子どもたちのために家庭養育の大切さを伝える

『すべての子どもに愛ある家庭を』。家族と一緒に暮らせない子どもとその家族を支援しているSOS子どもの村JAPAN。
家庭養育がどんなに大切か、また訴えるその背景にはどのような思いがあるのか迫ってみた。

家族と暮らせない子どもたちが増え続ける中で

「子どもを1人にさせてはいけない」と熱心に語るのは、「子どもの村 福岡」で働く橋本愛美さん。SOS子どもの村は、虐待など様々な理由で家族と一緒に暮らせなくなった子どもたちを支援する国際NGOだ。世界135の国と地域で活動しており、SOS子どもの村JAPANはその日本拠点である。里親と子どもが一軒の家で家族のように暮らす支援を行っている。近年、家族と一緒に暮らせない子どもは増え続けており、橋本さんは家庭養育の大切さや、子どもと実家族が一緒に暮らすことの重要性などを訴え続けている。

実体験から考えさせられた子どもへの思い

その1つに大学時代に児童相談所でアルバイトをしていた時の、ある男の子との出会いがある。その子は小さい頃から乳児院、児童養護施設とずっと福祉施設の中で育ってきた。彼が「9歳の時に、自分はこの世でたった1人なんだと気づいた」と言っていたのを聞いた時、橋本さんは「子どもにこんな思いをさせてはいけない」と強く思ったという。また大学卒業後は精神科の病院に勤め、幼少期に問題を抱えたまま大人になった患者さんに多数触れ、「小さい頃に地域の中で支えられる家庭環境があればいいのに」と感じた。そんな中、家庭環境で子どもを育てる「子どもの村」というのを一緒にやってみないかと関係者に声をかけられたという。

立ち上げ時の苦労を吹き飛ばす子どもたちの笑顔

子どもの村のような、家庭環境で子どもを育てるという仕事を前々からやってみたかった橋本さんは、またとないチャンスを得た。しかしいざ働いてみると、そこには大変な苦労が待っていた。橋本さんは臨床心理士なのだが、立ち上げ時は人手が本当に足りず、臨床心理士とは関係ない事務の仕事を毎日夜遅くまでこなさなければならなかったという。辞めたいと思ったこともあったが、それを無事乗り越え、「子どもの村 福岡」は2010年に開村した。今では事務局の人数も倍に増え、橋本さんは相談支援員として活躍している。橋本さんがやりがいを感じる瞬間は、村に来た子どもがだんだんと生き生きとしだす姿を見た時だという。子どもらしくのびのびとした様子を見ると、「やっぱり子どもの村の仕組みは必要だったんだな」と感じるのだ。

まずは知ってもらう事が大切

「里親の下で育とうが、施設の下で育とうが社会の子として子どもたちが堂々と生きていけるようにしていきたい」と橋本さんは語る。そのためには一部の専門家に任せきりにするのではなく、社会の問題として市民に知ってもらう、みんなで育てていくということが大切だ。この活動を多くの人に知ってもらうために子どもの村はTwitter、Facebookなど様々なメディアで情報を発信している。また運営の費用は約8割が寄付で成り立っているため、少しでも協力してもらえるよう募金活動及びセミナーを積極的に開催している。そこにはなによりも子どもへの深い愛情があるのだ。

スクーパーEyes 子どもにとって非常に大切な実家族の存在

子どもの成長過程における周りの環境は非常に重要なものだ。どんな人とどんな場所でどんな影響を受けて育ったのか、1人として同じ者はいない。中には子どもの実家族に、アルコール依存症や虐待、貧困があるかもしれない。多少そのような困難があったとしても、子どもにとって実家族は唯一無二の大切な存在であるのには変わらない、というのが近年の世界的な考え方だ。したがって子どもが家族の元にいるために「子どもの村 福岡」では実家族を支援していく体制がある。「子どもの村 福岡」は設立当初は村で子どもを永続的に育てていく考えだったが、子どもと実家族の両方を支援するようにシフト。実家族を支援することにより子どもが実家族の元に戻れるようにしている。現に村の子どもたちは実家族との交流を実現している。実家族への支援はまだまだこれから充実させていきたいと考えているが、現在子ども家庭支援センター「SOS子どもの村」では、地域の家族を支援するために、来所相談や家庭訪問、里親が一時的に子どもを預かるショートステイの仕組みづくりなどに取り組んでいる。実家族が子育てに疲れ切るまえに利用してもらい、子どもと実家族が分離するのを未然に防ぐのだ。子どもの村に相談にくる家族はたくさんいるが、それはほんの一部に過ぎない。自分から助けを求めれない家族、問題を抱えた家族はまだまだ社会にたくさんいる。そのような家族のためにも「子どもの村 福岡」は大きな役割を担っている。

取材後記 今ある当たり前のような環境に感謝

今回の取材をするまで児童養護のことについて全く知らず生きてきました。私の育ってきた環境がたまたま恵まれていただけで、ひょっとしたら自分も家族と一緒に暮らせない子どもになっていたかもしれません。ですので今ある当たり前のような環境に感謝を忘れてはいけないなと思いました。また橋本さんから大学生へ向けて「20代の時に体験したことは、その後の人生に大きく影響を与えるので、いろんなことにチャレンジして欲しい」というメッセージをいただきました。橋本さん自身も大学生の時に児童養護施設の子どもたちに出会っているので、私も気になったことはすぐに取り組んでみて、自分の人生をより豊かにしていきたいと思います。今回取材させていただいた橋本愛美さん、現場見学を案内していただいた藤本正明さんありがとうございました。
(文責:福岡大学1年 井手 康平)

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