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株式会社岡野

メーカー スクーパー取材記事あり
福岡県筑紫郡那珂川町片縄東1-6-21 (本社工房)

2019年度

伝統を次世代につなげつつ日本、世界に通用する進化した博多織を

創業121年の長い歴史を持つ株式会社岡野。移りゆく時代の中で変えるべきものと、そうでないものを見極めながら、新しい博多織への進化と挑戦を続けている。業界屈指の製造小売業社の魅力に迫る。

織元の経営形態を大きく変え、V字回復を実現させた 現社長・岡野博一氏

株式会社岡野は明治30年、現在の呉服町にて博多織元として創業した。創業から5代目代表取締役の岡野博一氏の就任までは、受注から製造のみの経営であった。そのため美しい織物を織りなす技術はあっても「岡野」という名前が世に出ることはなかった。時代が進み、着物の活躍の場が少なくなると経営は困難になった。赤字続きを打破し、見事V字回復させたのが博一社長である。今では福岡・東京に店舗を立ち上げている。自社ブランドである千年工房も経営し、着物だけでなくネクタイなどの独自のデザインのアクセサリーを販売している。洗練された感性と磨き抜かれた技術を掛け合わせた職人技を、これからの1000年に伝えていくための取り組みを力強く進めているのだ。

博多織を伝えていくための信念

岡野社長は自らを学生時代は変わった性格をしていたと話す。中学一年生の時、校則の坊主頭に違和感を覚え、署名を集め職員会議に提出したことがあるそうだ。岡野社長はその頃から常識を常に疑ってとらえ、思考し続けている。それも「自分の中に『考えないことが悪である』という考え方があったからこそ」と岡野社長は話す。ここでいう「悪」とは、「面倒くさい、仕方がない」と決めつけ、進化の可能性をなくしてしまうことだ。「人間だから考えることができ、考えることをやめなければ進化し続けられる」と岡野社長。博多織に関しても会社の危機をどうしたら乗り越えられるのか、考え抜いた末に博多織の進化を続ける経営が成り立っている。この言葉から、岡野社長の博多織に対する情熱や努力を続ける前向きな姿勢が伺える。

人生のターニングポイント・新しく始まった習慣

岡野社長は学性時代に尊敬できる人物と出会い、大きな気づきを得た。それは読書の素晴らしさだった。「読書によって直感だけでなく、そこに知識が加わり、自分の行動に説得力が付いてくる」という教えである。その日から、それまで一切してこなかった読書という習慣が始まる。今でも鞄には3冊の本が入っているという。読書によって多様な知識が増えた。その例の一つにエルメスの経営方法がある。元々馬具屋だったエルメスは、裁縫技術を鞄に活かしブランド化を図った。この知識を得た岡野社長は、博多織の可能性に気付いた。伝統技術をアクセサリーに生かすことだ。これが千年工房の始まりであり、伝統を受け継ぎ進化させながら継承していく未来への土台となった。

未来を見据えた伝統の近代化とさらなる進化

現在、千年工房は統合されOKANOブランドの一つとされている。現代のニーズにアンテナを張り、新しい博多織へ進化しているのだ。また社内の可能な業務はデジタル化を進め、約5年を目処にオンラインショップの展開やデザインのデータ化などIT 化を目指している。コンピューターや機械に任せる業務と、人の手で行うところを見極め、仕事の効率化を図るのだ。岡野は毎年多種多様な賞を受けて博多織の認知度を上げるなど、日本の文化大国化に貢献している。株式会社岡野の挑戦・進化はまだまだ始まったばかりである。

スクーパーEyes 若い世代が考え、次につなぐ

「子供ができても働きやすい環境です。社員の年齢層は幅広くみんな親切で、とてもアットホームな会社です」。そう教えてくれたのは今年で入社2年目の畑中玲華さんだ。一度他の会社に入社したものの、自分がしたいことと違うと感じ、縁あって株式会社岡野に入社した経緯を持つ。彼女は、その経験があったからこそ自分の好きなこと、したいことが明確になったという。
現在は意匠部で博多織のデザインを担当している。入社前は博多織との関わりは少なく、着物を身に付ける機会も滅多になかった。そのため日本文化自体あまり身近なものではなかった。しかし入社後、博多織特有のさまざまなデザインなどを知っていくうちに、同じデザインが身近に使われていることを知った。外国人が数十万もする着物を買っていくところも目にした。畑中さんは「日本文化のすばらしさに気付きました」と話し、これから日本は文化大国になるべきだという岡野社長と同じように「日本文化を地域に、日本に、世界に発信していきたい」と意気込んでいる。これからの日本を背負う若い世代の人の行動を目の当たりにした。

取材後記 自分の人生を見つめ直して、思考し続ける

今回の取材で岡野社長に学生へのメッセージをお願いしたところ、「気概を持って就活してほしい」というお言葉をいただきました。「大学を卒業したらすぐに就職しなければならないわけではない。大手という名前につられて就職するのも悪いことではないが、これから自分が社会を、日本を、世界をどのようにしていきたいのか、よく考えてみれば卒業後の道が少しは見えてくるのではないか」。このアドバイスを頂いたときにハッとした自分がいました。興味のあることでなければ続かない、そういう経験はいくつか自分の中にもあります。就職活動の中で何も考えず「とりあえず」で就職し、後悔をすることのないように、学生のうちから思考を怠らないようにしたい、と心から思いました。
(文責:福岡女子大学2年 藤野 陽菜)

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