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【サガスト】PICFA(ピクファ)

医療・福祉 スクーパー取材記事あり
佐賀県三養基郡基山町大字宮浦399-1きやま鹿毛医院内

2019年度

【サガスト】チャレンジドの挑戦を追ってみた

障がいを持っている人という意味の言葉「チャレンジド」。障がいを持った人がアートなどの創作活動を仕事とするPICFA。表現することを得意とする人々が、多くの企業とコラボ。知られざるPICFAの魅力に迫る。

「福祉の既成概念を変えたい」

「福祉の概念を変えたい」そう熱く語るのは、PICFAの代表・原田啓之さんだ。10代の頃からスポーツ万能で高校時代にはテニスで春の大会で全国優勝という輝かしい実績を残しながらも、スポーツの道に進まず福祉の道に進んだ。その背景には、原田さんの兄に知的障がいがあったため、幼い頃からボランティア活動などを積極的に行ってきたことがある。その中で、「福祉とは何か?」「幸せとは何か?」などについて疑問を持つようになり、障がい者施設の働く環境を変えたい、安い工賃でしか働けない仕組みを改善したいという思いを胸に積極的に福祉活動に参加してきた。
施設名のPICFAはPICTURE(絵画)とWELFARE(福祉)の造語である。創作活動と福祉の両方を追い求めるという意味だ。この経営方針は学生時代から思い描いていたそう。原田さんは日本福祉大学卒業後、音楽とアートを仕事にする福岡市の障がい福祉サービス事業所JOY倶楽部に2016年まで勤務。福祉と創作活動、社会とのつながりをより独自の発想で推し進めることができないかと模索していた時、医療法人清明会から打診を受け、2017年7月にきやま鹿毛医院内にPICFAを設立した。

交流の場を大切に

きやま鹿毛医院内には内科の透析の医療、PICFAの障がい者、介護保険事業のC型のアザレア、託児所がありすべて一本の廊下でつながっている。
PICFAの施設形態は、障がい者就労支援B型事業所。B型は障がいや難病のある方など企業等で雇用契約を結んで働くことが困難な方が就労訓練を行うことができる福祉サービス。きやま鹿毛医院にはPICFAの他にも国の方針として、「65歳以上の元気な高齢者は元気なままでいられるように」と高齢者の体力維持増進のために作られた介護予防通所型サービスC型施設「アザレア」がある。またその隣には、病院の職員が利用できる託児所も併設。利用者層の異なる事業が同一の医院にあることで、様々な人とコミュニケーションが可能になり、利用者が何事にも安心してチャレンジできる環境になっているのだ。この仕掛人もまたPICFAだ。
 医療と福祉の両面に力を入れるために医院内に障がい者施設を設けたことは日本で初めての事であった。また、通所型サービスC型事業所は概ね3か月程度と期限を決めて集中的に介護保険サービスを受ける目的で設置されているため、期限後も利用は想定されていない。しかし、月謝を支払ってでも利用したいといいう人の声を受け、厚労省にも確認を行い引き続き利用ができる仕組み作りを行った。このことも前例にない取り組みであった。

「アート」だけでなく「人生」も広がるように

PICFAでは「できないこと」を前提とするのではなく、「できること」を起点とした考え方を大切にしている。創作活動は主に、絵画や刺繍などが多いが、創作活動の過程に生活上のスキルアップができるポイントをいかに入れていくかということを利用者とともに日々チャレンジしている。例えば、絵の具のパレットをきれいに洗うことができれば、自宅のお皿を洗うことも同様に簡単にできるようになる。このように創作活動で身に付けた一つひとつの動作を日常生活につなげるということができるのだ。
また、様々な人との関係性を育み、利用者自身が社会的な存在になるための働きかけも行う。その一つの例が、利用者の通勤もスキルアップの一環としていることだ。15名の利用者の中には、公共交通機関を利用して出勤することが困難な人もいる。しかし、「失敗して学ぶ」を大切にしているため、送迎は行っていない。困っている人が目の前にいるとき、周りの人がどう支援を行うのか?またどう助けるのか周りの人にも学んでほしいのだ。創作活動全般を通して利用者はもちろん社会全体のスキルアップを目指している。

共生できる社会の実現を目指して

原田さんの目標はPICFAの施設の前にある小・中学校の子どもたちが遊びに来てくれるような場所にすることだ。「施設の入り口に様々な作家の絵を展示できるギャラリー、カフェや駄菓子屋を作りたい。」と原田さんは話す。施設に遊びに来た子どもたちはお金の計算が苦手な障がい者の方が目の前で計算ミスをしたときにどうするのか。「教養を学べる場となり子どもたちの福祉観や教養に繋がると嬉しい。」利用者の中には国立大を卒業して子どもに勉強を教えることができる人もいる。利用者の特性を生かし、子どもたちとの交流の場を増やす。コミュニケーションが苦手だった人も地域の人が遊びにきたり作品についての新聞取材を受けたりするにつれコミュニケーションがとれるようになり明るくなったそうだ。様々な手段や方法での苦手を強みに変えることに大きく関わっている。休暇期間に、多くの子どもがこの施設に遊びに来たり勉強しに来たりして、いろいろな人と関われる機会を今以上に増やし、障がい者と健常者がともに共生できる社会づくりを目指す。PICFAが誰でも気軽に訪れることができるコミュニティーの場となるように原田さんは日々奮闘する。

スクーパーEyes 商品について

PICFAでは絵画制作及び販売、デザイン、ライブペイント、商品の販売など様々な企業とコラボしている。商品にはTシャツ、バック、PICFA缶、布缶バッチ、バンダナなどだけではなく、注文に応じてお客様の好みに合ったオリジナル商品を作ることもしている。県知事の名刺のデザイン、「逃げるは恥だが役に立つ」のドラマで使用されたブランドとPICFAのコラボ「エプロン」もある。
また、他県での展覧会も積極的に実施している。2019年6月の下旬から鳥取県で行われた展覧会では50日目を会期初日として、50日間で描いた作品の経過も合わせて展示した。絵の描き方や日々の絵の進み方も見てもらったそうである。
施設の中には数々の絵画や、商品が飾られている。色鉛筆で絵を描く人もいれば絵の具、刺繍など利用者の得意分野を生かして作業をしている人もいる。どの作品もその人らしさが表れているような絵画ばかりである。利用者の中には海外での展覧会で作品を出展したことがある人もいる。様々な企業とコラボしているが、「日本だけでなく活動の幅を海外にも広げていけたら」と原田さんは話す。

取材後記 取材を通して

私は「サガスト!」を通して、多くの人と触れ合うことができました。私が取材したPICFAには様々な特性を持った利用者がおり、その特性を最大限に生かせる環境づくりが大切であると感じました。私が一番感動したのは絵画です。数々の素晴らしい絵画の作品は、私の想像を超えていました。一人一人個性豊かで、作品・クライアントに釘付けになりました。
今回、「サガスト!」に参加したからこそ佐賀県の中にPICFAという素晴らしい障がい福祉サービスがあることを知ることができました。記事を通して、この施設をもっと多くの人に知ってもらい、全ての人が共生できる社会を実現しなければと強く思いました。
(佐賀女子短期大学1年 中山 はな)

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