スクーパー取材記事

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【サガスト】株式会社サロンモード

小売・流通 スクーパー取材記事あり
佐賀県鹿島市 佐賀県鹿島市 大字高津原中牟田4304−5

2019年度

【サガスト】株式会社サロンモードの軌跡と現在

創業70周年を迎えた株式会社サロンモード。戦後間もない時期から佐賀に根付きおしゃれを先導してきた。アート×ファッションをテーマに新たな展開をみせる、その舞台裏にフォーカスをする。

サロンモードの創業

「モードファッショングループ」として佐賀県内に18店舗のレディスファッション販売店を展開している株式会社サロンモード。県内に集中展開することで丁寧な店づくり・人材育成を実現している。
同社の始まりは、戦後復興期の1949年、佐賀県鹿島市で東島道子さんが広さ6畳の店舗で始めた小さな洋品店だ。当時ランプが生活必需品であったが、よく燃えない質が悪い灯芯が出回っていたため、古い肌着の綿を織り込んで販売したところ好評だった。
また、まだ女性の社会進出が一般的ではなかった時期から、地域の女性たちへお洒落の楽しさを発信すべく、実家である日本料理店の客間でファッションショーを開催するなど、時代に先駆けた取り組みで鹿島のまちを活気づけた。本質を追求し、まちの活性化をリードしていく企業精神は現在も受け継がれている。

日常の中にアートを

道子さんの孫で現在専務取締役を務める山口賢人さん。各店舗のマネジメントや海外への買い付けなど、国内外を飛び回る毎日を送る傍ら、WEBマガジン「SAGARICH」の編集長として地域活性にも精力的に取り組む。鹿島市の祐徳稲荷神社における「令和カウントダウン」は佐賀に縁のある書家や演奏家とともに新しい時代の幕開けをプロデュースし、約1万人が詰めかけ全国からも注目された。
また、2019年8月にイオンモール佐賀大和店を美術館に衣替えする企画を実施。「枠にとらわれない美術館」をテーマに、高尚なイメージを持たれがちの美術の敷居を下げ、日常の中にアートを織り込むことを試みた。
「日本ではどうしても、服は服屋、カフェはカフェ。それぞれのテリトリーが区分けされて役割分担されているが海外は違う。ショッピングカートがこの美術館エリアにあったり、買い物袋を提げたまま画を眺めたり、当たり前の生活の中にアートを存在させたかったんです」と笑顔を見せる。

アーティストが活躍しやすい環境づくり

山口さんが、アートに関心を向けるようになったのはごく最近のことだ。ターニングポイントになったのは、ベネツィアで出会ったある作品だった。有名な作家の作品ではなかったが、その場で2時間も動けなくなってしまうほどの衝撃を受け、それ以来アートの持つ力や日本と海外のアートに対する価値観の違いなどについて考えることが増えたという。
ヨーロッパは、街のあちこちにアトリエがあり、思い思いに作品づくり精を出す。カフェには様々な画が掛かり、販売されている。美術館はコミュニティの場としてにぎわっている。ヨーロッパの人々にとってアートは生活の一部だ。様々なアートにふれ、子ども達は日ごろから豊かな想像力や表現力を身に着ける。
アート作品の売買がまだ一般的とは言いにくい日本においては、作家たちもまだ表立った活動がしにくい現状がある。
「実業家である自分たちがビジネスとして成り立つ仕組みを考えてアーティストがもっと作品を世に出しやすい環境を整えていかないといけないと思う」。
作家たちがもっとのびのびと作品づくりに打ち込めるように、これからも尽力していくつもりだ。

哲学や文化を提案する仕事

自社のことを「洋服屋ではなく、エンターテインメントカンパニーと思っている」と山口さん。ファッションは個性を表すひとつの手段であり、相手に与える印象を変えることができる。このことを佐賀の人にもっと分かってほしいと語る。既成の服を販売するだけでなく、年に2回スーツオーダー会を実施するのはそうした理由もあるのだ。まるで、普通の人でも特殊なスーツを着るとスーパーマンになれるように、自分のからだに合わせて仕立てられた世界に一着のスーツは、”勝負服”のようにスイッチを入れてくれる。ただ服を買うだけなら、自動販売機で十分。接客業は哲学やカルチャーを提案する仕事だ。
「それまでファッションに興味を持たなかったひとが服を考えることで毎日がすごく楽しくなったと言ってくれることがある。そういう変化がすごく嬉しい」と語る山口さん。
戦後まもない時期から佐賀のファッションを牽引してきた。生き方の多様化が進む現代、様々な分野とコラボしながら、新たな表現方法を提案していく「エンターテインメント企業」の躍進はまだまだこれからだ。

スクーパーEyes 「枠にとらわれない美術館」

イオンモール佐賀大和で開催された「イオン美術館」。令和元年8月10日から8月25日までの16日間、絵画の展示、音楽ライブ、華道の作品展示、プロジェクションマッピングなど、様々なアートが披露され、山口さんはプロデューサーとして指揮を執った。
メイン会場となったイオンホールの入口ではコーヒーが配られ、心落ち着く音楽流れる中、窓の景色と見間違えてしまう様な絵画を見て時間を過ごすことができる。さらに、華やかな香りで部屋が満たされ、一般的な美術館にはない、五感に刺激を与える空間となっていた。主催であるイオン佐賀大和の森店長の母親が製作した、ガラスの器を主役とした大判の油絵作品の数々が並ぶ空間は涼やかな印象を与えていた。
今回の企画は、最初から構想があったわけではなく、同じ志を持つ者同士で意気投合した結果実現したもの。些細なきっかけや出会いなどの点と点が線となり、やがて面となり、事業化していくケースは多々あるという。山口さんが、”佐賀の強みは人だと思う。人と人の距離が近い”と語るように、アイデアがあればまずミニマムサイズで形にすることができる、そのスピードの速さは佐賀の魅力だ。

取材後記 自己肯定感の言葉と強化

”あなたがやりたいことは何ですか?”
「趣味、好きなことを突き詰める、トコトン極める、将来の夢と職は同一ではない」インタビュー中の返答で最も印象に残っている一言です。大学へ行っても入学後のビジョンを持たなかったり、同様に就職しても目標を失ったりすると、自己肯定感を高めることはできません。
初めに書いた「何をしたいのか」とは自己肯定感を高める事の出来る問いです。何をするとは曖昧ですがそこには明確な「進むべき道」や「好ましい姿」が存在します。心を動かすものを極限にまで突き詰める事がこの「自己肯定感」を高めるのだと思いました。山口さん、ありがとうございました。
(西九州大学2年 金丸 大気)

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