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スリー・アールシステム株式会社

  • 2018年度
ライフスタイルに合った働き方を
「あたりまえ」に選べる職場環境をつくっていく

スリー・アールシステム株式会社は、デジタル機器を中心に取り扱うファブレスメーカー(商品を自社で開発し、製造を外部の工場に委託する業態)だ。女性が多く活躍する同社が取り組む、大胆な働き方改革とは。

成長のタイミングはずっと「いま」。現在進行形で業績拡大中

「いらっしゃいませ!」オフィスに足を踏み入れると、はつらつとした声が響き渡る。軽快なBGMが流れ、活発なやりとりが絶えない。
スリー・アールシステム株式会社は、パソコン周辺機器をはじめ、ソフトウェア、光学機器から太陽光発電まで幅広い商品を開発・販売している。創業は2001年。2005年に今村陽一氏が入社した当時4名だった従業員も、70名近くに増えた。2015年に自ら手を挙げ、代表取締役社長に就任。「急成長のタイミングは、まさに『いま』」と話す今村社長。常に前年比20~30%のペースで業績を伸ばし、現在進行形で成長中の企業だ。

時短でも、実力に応じて評価される制度を

現在、従業員の約半数は女性で、そのうち6名が時短社員だ。時短社員制度を導入したのは2016年のこと。時短社員でも、フルタイムの正社員と同様に評価が受けられるようになった。1日4時間(週20時間)からの勤務が可能だ。導入の理由は、「能力のある人が家庭の事情のためにやめていくのは、さびしいと感じたから」と今村社長は語る。パートタイムでは、モチベーションの維持も難しい。優秀な人は勤務時間に関係なく、能力を発揮できるはず。現に、時短社員として入社し、4カ月で昇任した実例もある。柔軟な発想が強みの同社ならではの取り組みを、会社一丸となってやっていこうと決めた。

子どもとの時間も大切にしたいから。選んだ「時短」という働き方

ウェブデザイナーの吉川志穂さん。創業メンバーの一人であり、会社の発展に貢献してきた。2013年に産休・育休を取得し、パートタイムとして復職。「正社員として働きたいけれど、子どもとの時間は減らしたくない」と葛藤していたなか、2016年に制度が導入され、時短社員となった。将来や家族のことを考えたとき、時短でも正社員の立場が保証されるのは、心強かったという。 働き方も変わった。保育園のお迎えがあるため、リミットは絶対。時間に厳しくなった。予定通りに運ばないこともあるが、引き継ぎやすいよう業務の進捗状況を共有し、上司にサポートしてもらっている。
「子どもが成長したときに同じ感覚で話せるよう、仕事は続けていきたい」と吉川さん。現在は部署で進行中のプロジェクトの中心となり、日々邁進している。

あたりまえのことを、あたりまえにできている

2018年に入り、同社では多様な働き方をさらに広げる新たな試みを始めた。時短社員制度は子育て中の女性に限らず、全社員が対象に。産休・育休中の社員のためのプロジェクト「リモートワーク研究所」も進行中だ。今村社長も週2日を在宅勤務日に設定し、率先して実践している。社長自ら空気を作っていくことがねらいだ。 「あいさつや日々の掃除など、『あたりまえのことを、あたりまえにできること』が成長につながっていますね」と今村社長は強調する。 今後、誰もが育児や介護などを理由に働き方を変える必要がでてくるかもしれない。そんなとき、多様な働き方を「あたりまえ」に選べる職場環境づくりを、スリー・アールシステム株式会社は実践していく。

スクーパーEyes 「読書」がつなぐコミュニケーション

スリー・アールシステム株式会社には社内図書館「ヨマンネ」がある。「ヨマンネ」は博多弁で、標準語でいうところの「読んでみたら?」にあたる。蔵書数は2500冊以上を超え、ビジネス書に小説、漫画から絵本まで、充実の品ぞろえだ。
「図書委員」である社員が、蔵書管理や新たな本の調達、「図書館だより」発信業務などを担っている。バーコードを使った貸出し管理システムも、図書委員が自ら無料ソフトを探し、導入したものだという。 
今村社長が「いつの間にかシステムができていたんですよ」と言うように、社内活動が自発的に行われている様子がうかがえる。
また、同社ではkindle無料貸与や、読書感想文を提出すると1冊につき1000円が支給される手当など、全社的に読書を奨励している。今村社長自身も年間100~200冊読むほどの読書家で、感想文は一つひとつ目を通し、コメントをつけて返すそうだ。「ちゃんとリアクションするのは、人間関係づくりで大切なこと」と今村社長。多様な働き方を進める同社において、相互理解を深めるコミュニケーションツールとしても、読書がひと役買っている。

取材後記 「二つ取っていいんだよ。両方取っていいんだから」

これは、結婚を機に退職を考えた女性社員に対し、今村社長がかけた言葉です。
私自身が妊娠を機に仕事を辞め、また働きたいと思いつつ、子育てと仕事の両立が不安で、動けずにいました。どちらかを取れば、どちらかを犠牲にせざるを得ないものだと思い込んでいた私はハッとしました。
自分で自分の可能性を閉ざしていたのだと気づいたのです。私にもまだまだ、やれることはあるはず。前向きにチャレンジする気持ちを思い出しました。
多様な働き方を許容する社会の取り組みは広がっています。チャンスはある、でもそれは自分次第。そう気づかせてもらえた時間でした。
スリー・アールシステム株式会社の皆様、本当にありがとうございました。

(文責:太和田 真知子)

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